Vol.016 自己組織化するたんぱく構造の設計や制御

出典:Kosuke Kikuchi, Koki Date, and Takafumi Ueno
Design of a Hierarchical Assembly at a Solid-Liquid Interface Using an Asymmetric Protein Needle
Langmuir 2023, 39, 2389-2397

要旨

従来の研究において、人工的なたんぱく質の構造設計には、たんぱく質間における予想外の相互作用を避けるために原子レベルの精度が必要とされている。そのため、異なるたんぱくで形成されたたんぱく構造の設計や制御はいまだに困難である。タンパク構造の設計方法として,もともと存在しているたんぱく質を修飾して新たなたんぱく質を生成する方法がある。

本研究ではヒスチジンタグ(Hisタグ)を用いることで、Hisタグが結合したたんぱく同士で相互作用を提供するという仮説をもとに実験を行った。T4バクテリオファージに由来する遺伝子生成物5(gp5)のC末端にHisタグを用いてたんぱく質の4量体を形成した。高速AFMで観察したところ、Hisタグが結合したたんぱく同士で集まったたんぱく集合体が、ネットワーク状構造を構築していることが分かった。

Keyword: Gp5たんぱく(Gene product 5)の構造

Gp5たんぱくはT4バクテリオファージ由来の遺伝子によって生成される細胞穿刺に用いられるたんぱく質であり、N末端の分厚い頭部構造とC末端のニードル様の尾部構造から構成されている。

Gp5たんぱく質は別のたんぱく質と相互作用することで三角格子や直線繊維を形成できる。本研究では、Gp5たんぱくは直交する相互作用を用いた非対称なたんぱく構造体として用いられている。

観察結果

Gp5の4量体を高速AFMで観察した。その結果、Hisタグが結合したタンパク同士とHisタグが結合していないタンパク同士の相互作用によって、ネットワーク構造を形成していることが示された。このネットワーク構造は、柔軟でダイナミックな超分子材料の開発やたんぱく質ベースのセンサーやナノデバイス、生体適合性機能シートへの応用につながると考えられる。

Gp5_CH は、N 末端頭部を通じて四量体クラスターを形成した。 (a) 特徴的な広域 HS-AFM 像(上)Gp5_CH は四量体クラスターである (下、上の点線領域の拡大画像)。 (b) 四量体クラスターの高解像度 HS-AFM 画像。(c) パネル (b) のアセンブリクラスターの予測構造。 (d) パネル (c) のモデル構造に基づく擬似 AFM 画像を示す。 (e) 明らかな正面衝突Gp5_CH を相互に接続するヘッド (赤色領域) とテールツーテール相互作用 (緑色領域) (上: 生、下: ラベル付き)を示す。 (f) 提案雲母表面上の Gp5_CH の集合クラスター構造の模式図。スケールバーは 50 (a)、20 (e)、および 10 nm (b、d) である。

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出典論文

Kosuke Kikuchi, Koki Date, and Takafumi Ueno
Design of a Hierarchical Assembly at a Solid-Liquid Interface Using an Asymmetric Protein Needle
Langmuir 2023, 39, 2389-2397

 

使用機種

サンプルスキャン型高速原子間力顕微鏡 SS-NEX

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